田中ロミオさんの「人類は衰退しました1」です。
アニメ版はこちら
始まりの第一巻です。主人公の”わたし”と妖精さんの「この物語はこんな関係性を中心に進んでいきますよ」的なストーリーで、気軽に楽しめます。
時間軸にこだわる方は五巻16ページ「学舎」~165ページ「合同卒業式」までを先に読んでみることも一興かと思います。
妖精さんたちの、ちきゅう
小説とアニメでは大きな差異はないようです。ただ、細かな差異は存在しており、より深い関係性が”ニュアンス”で描かれています(アニメには尺という制限がありますからね)。ですから原作を読むこと推奨です。
命名された妖精さん4人、”きゃっぷ”さん、”なかた”さん、”さー・くりすとふぁー・まくふぁーれん”さん、”ちくわ”さんは今後も登場します。
再登場のトップバッターは”なかた”さん。物語終盤に再登場します。
ちくわさんは原作で”さー”の称号を却下されていますが、アニメでは許されています。ちくわさんが活躍する『あけぼの』未映像化なので詫びのつもりでしょうかね?。
再登場のなかたさんが”わたし”に神さまをタッチされた時、うめきながら”わたし”に近づき、足にタッチし返します。妖精さんの黒さを感じさせます。
なかたさんは、アニメでは「どない?」と聞きますが、原作では
「どない?」とでも言うような表情で、上目遣いに様子を伺います。
122ページ
となっているので、ニュアンスが違ってます。
その後、アニメでは「残念。同じ人はもう神様にはなれないのですよ。」でおっかけっこに進展しますが、原作では、
「残念。同じ人はもう神様にはなれないですよ。だからわたしにタッチしかえしても無駄なのです」
122ページ
からはじまり、妖精さんたちを追い詰めるSっぷり。原作の”わたし”の方が一枚上手です。
妖精さんの、あけぼの
アニメから入った方にはおたのしみの『妖精さんの、あけぼの』(未映像化)収録です。
アニメスタッフに文句をつけたいのは『妖精さんたちの、さぶかる』映像化するより『あけぼの』映像化しろよ(えぇ、妖精さん推しですから)と言いたい(えぇ、言ってますとも)。
『妖精さんたちの、ちきゅう』に続き、ちくわさんときゃっぷさんが再登場します。
ちくわさん曰く、
(仲間は)「あっちでげんきにげんしです?」
147ページ
ということで原始時代を模倣したストーリーです。
”わたし”の部屋で生まれた(?)ちくわさん大活躍です。
再会時の会話がツボったんですが、ちくわさんが”わたし”にプロポーズします。当然振られるのですが、特にツボでした。
妖精さんはペーパークラフト製の恐竜などを作ります。しかし自分たちの作った恐竜にお菓子を奪われる間抜けぶり。
ちくわさん曰く
「……せいぞんきょうそうに、まけたです?」
174ページ
だそうで。
きゃっぷさんが先頭に立ち妖精さんたちを奮い立たせます。やっぱり彼はリーダーだったようです。まぁ
「じぶんを、たおした!」
183ページ
しちゃうのですが。
最後にきゃっぷさんによく似た、日焼けしていない(ちくわさんもきゃっぷさんも原始生活で日焼けしてる)”かぶと”さんが登場しますが、きゃっぷさん本人なのか、その一族なのかは謎のままです。
この話のポイントは、ちくわさんの
「……ぼくら、さいのーなしです」
200ページ
から始まり、
「おかしは、にんげんさんにかぎるです」
200ページ
と、お菓子作りが苦手だと妖精さん自身の告白があります。これ以降”わたし”が『妖精さんはお菓子を作れない』という語りが度々出てくるようになりますし、次巻『じかんかつようじゅつ』の切っ掛けにもなっていきます。つまり、”わたし”が妖精さんを支配する要因でもあります。
国連が配給する「世界キャラメル」というものが出てきます。包み紙は通常銀紙で5枚で抽選、金の包み紙なら当たりで、国連に送ればお菓子の缶詰が送られてくるというもの。
なんと妖精さんは金の包み紙を手に入れ、”わたし”が変わりに送ることになります。それは「妖精さんたちの、じかんかつようじゅつ(原作では次巻後半、アニメでは第7話)の冒頭で届けられます。